『0と1から、考える機械まで』表紙

『0と1から、考える機械まで』読者専用ページ

── 世界を変えた“持たざる者”たちの物語 ──

Kuro-chan with T 著

本ページは、書籍『0と1から、考える機械まで』の内容をさらに詳しく知りたい方のための解説ページです。0と1の誕生からAIまでの物語の要点、次に読む本のガイド、「考える機械」のその後の情報をまとめています。

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本書では、原稿・図版・編集・出版登録まで、一連の工程をAIと人の対話で行っています。AIを使ってKindle出版する方法に興味ある方は以下のページをご覧ください。

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本書の要点解説

本書は、「0と1」というたった二つの数字が生まれてから、“考える機械”=AIが生まれるまでの、約70年(発想の芽まで遡れば約300年)の物語を追いかけました。主役はいつも、金もコネもない「持たざる者」たち。ここでは、各章の流れを、あとから振り返りやすいように整理します。

第1章 0と1は、どこから来たか

すべての土台は、たった二つの数字から始まりました。

約300年前、ドイツの天才ライプニッツが「どんな数も0と1だけで書ける」(二進法)と考えつき、中国の古典『易経』の図に自分と同じ発想を見て感激します。次に、靴屋の息子ジョージ・ブールが、「人間の“考える”も、正しい(1)か間違い(0)かの計算にできる」というブール代数を独学で作り上げた。そしてクロード・シャノンが、21歳の修士論文で「ブールの理屈は、電気のスイッチの入・切でそのまま作れる」と示し、情報を「ビット」で測る情報理論まで打ち立てます。

仕上げはアラン・チューリング。「手順さえ与えれば、どんな計算でもこなせる万能の機械」(チューリング・マシン)を24歳で構想し、1950年に「機械は、考えることができるか」と人類に問いかけました。これがAIという70年越しの夢の、いちばん最初の一滴です。1940年代には重さ約30トンの巨大計算機ENIACが生まれますが、コンピュータはまだ、国や軍や大企業だけの特別な存在でした。

第2章 大地を作った者たち

コンピュータを人々に届けるには、まず三つの「大地」が要りました。

一つ目は「会社」。行商人あがりのトーマス・J・ワトソンが、社訓「THINK」を掲げてIBMを育て、世界恐慌のどん底でも社員の首を切らず、「社員を守り、社会の役に立ち、長く続く会社」の手本になりました。二つ目は「部品」。牧師の息子ロバート・ノイスらが、部屋いっぱいの回路を砂粒(シリコン)の上に詰め込む集積回路(マイクロチップ)を生み(ジャック・キルビーとの共同発明とされます)、相棒ゴードン・ムーアの「チップの性能は約2年で倍になる」(ムーアの法則)が、以後半世紀の進化の心臓になります。

三つ目は「線」。1969年、コンピュータ同士を初めてつないだARPANETの最初の通信は、送信中にシステムが落ちて「LO」のたった二文字でした。その線を、ヴィントン・サーフらの共通の約束事「TCP/IP」が、世界中をつなぐ本物のインターネットに育てます。

第3章 1955年生まれの二人

同じ年に生まれた正反対の二人が、コンピュータを家庭に届けました。

ビル・ゲイツは、シアトルの裕福な家のメガネの秀才。「儲かるのは機械やなく、中身(ソフト)や」と見抜いてマイクロソフトを興し、IBMとの伝説の取引──よそから買ったOSを納めつつ、他社に売る権利を自分の手に残す──で世界一の金持ちへ駆け上がります。スティーブ・ジョブズは、生まれてすぐ養子に出された反逆児。育ての父の教え「見えん裏側まで、美しゅうするのが、ええ仕事や」と、もぐりで聴いたカリグラフィーの授業を胸に、ウォズニアックとガレージでアップルを創業し、「素人でも買えるパソコン」の道を開きました。

章の後半は、「経営学の父」ドラッカーの謎解きです。ドラッカーはIBMのワトソンを何度も手本として書いたのに、ゲイツはほとんど書かなかった。その答えから出てきた教訓が、「すごい(=勝つ)」ことと「立派(=責任を果たし、長く続く)」ことは、別もの──という一本の物差しでした。

第4章 ウェブと、窓の戦争

家庭に届いたパソコンは、まだ海に浮かぶ「島」でした。

島々を一つの大陸に変えたのが、ティム・バーナーズ=リー。HTML・URL・HTTPを一人で考え出し、その大発明ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を、特許も取らず、世界中にタダで開放しました。図書館で独学したマーク・アンドリーセンと遅咲きの苦労人ジム・クラークの「ネットスケープ」が、初めての見やすい“窓”(ブラウザ)で大陸を開くと、ゲイツが「IEをウィンドウズに無料で最初から付ける」物量作戦で殴り込み、ネスケを討ち取ります(第一次ブラウザ戦争)。

けれどネスケは死ぬ間際、自分の設計図を世界に無償公開し、その灰の中からファイアフォックスという不死鳥が蘇って、IEの独占を突き崩しました。もう一人の陰の主役がブレンダン・アイク。ページに“生きた動き”を与える言葉ジャバスクリプト(JavaScript)を、たった10日で書き上げます。急ごしらえの不格好な言葉が世界を制覇した──ここに、本書を貫く教訓が出てきます。「完璧で美しいけど世に出んもの」より、「不格好でも、ちゃんと世に出したもの」が、世界を獲る。

第5章 ドットコム・ゴールドラッシュ

新大陸が開けば、次は一攫千金を狙う者たちの時代です。

英単語を「shoe(靴)」一語しか知らずに渡米した台湾移民の子ジェリー・ヤンが、相棒ファイロと「ヤフー(Yahoo!)」を作り、ネットの“玄関”の王様になります。それを日本に連れてきたのが孫正義さん。線路際のバラックで育った少年が、創業初日にミカン箱の上で「売上を兆で数える会社になる」とぶち上げ、まだ小さかったヤフーに巨額を投じ、ヤフー・ジャパンを日本の玄関にしました。イラン系移民のピエール・オミダイアのイーベイ(eBay)は、最初の商品が「壊れたレーザーポインター」。「どんなもんにも、欲しがる誰かがおる」の実証でした。

ネットの支払いを解決したペイパル(PayPal)からは、後にユーチューブやテスラを生む人材が散らばり、「ペイパル・マフィア」と呼ばれる苗床になります。そしてトリはグーグル(Google)。出会った日に一日中ケンカしていたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが、「重要なページからのリンクの数でランク付けする」(ページランク)を発明し、人間が手で選ぶヤフーを王座から引きずり下ろしました。創業まもない頃、グーグルが「1億円くらいで買うてくれへんか」と売りに出て断られた──という後日談まで含めて、歴史の綾です。

第6章 手のひらの革命と、つながりすぎる時代

世界がまるごと、手のひらに収まりました。

アップルを追われ、呼び戻されたジョブズが、2007年にiPhoneを、翌年にアプリストアを出し、無数のアプリが住む“手のひらの大地”を作ります。その大地の上に、子供部屋から世界をつないだザッカーバーグのフェイスブック、ペイパル・マフィアが作ったユーチューブ(最初の動画は動物園のゾウの18秒)、地図と無線が好きだった内気な少年ドーシーのツイッター、写真を“映え”させたインスタグラムが、次々と城を建てました。

流れが変わるのがティックトック(TikTok)です。友達の投稿やなく、AIがあなたの好みを学習して、ハマる動画を無限に流し込む。ネットが「人が使う道具」から「人を動かすもの」へ性格を変え始めた転換点でした。そしてトリは、ペイパル・マフィアの大ボスイーロン・マスク。南アフリカでいじめられ、SF小説に逃げ込んでいた少年が、スペースX(再利用ロケット)とテスラ(電気自動車)で「ない世界」を「ある世界」に変え、ツイッターを買収して「X」にした──天才と、はた迷惑が同居する暴れ馬です。

第7章 アジアの巨人

ネットの巨人は、アジアにもいます。

大学受験に2回落ち、就職試験は約30社全敗、KFCでは24人中ただ一人落とされた英語教師ジャック・マーが、アリババを興して中国の商売をネットに乗せました。第5章の孫さんが「数分会っただけで約20億円を賭けた相手」が、このマーです。対照的に、コツコツ秀才のロビン・リーは、グーグルより先にリンク評価型検索の特許を取っていた技術者で、「百度(バイドゥ)」──古い詩の「人混みの中で、あの人を百度探す」から名付けた検索エンジン──で中国を制しました。

そしてトリは、LINE。2011年の東日本大震災で電話がつながらなかった経験から、「大切な人と、メッセージでつながれる仕組みを今すぐ作らなあかん」と、震災からわずか数ヶ月後に生まれたアプリです。AIが暇を奪うTikTokの対極にある、「人と人を、もう一度つなぐ」ために生まれた、いちばん人間くさいテクノロジーでした。

最終章 考える機械の誕生 ── そして、語り手のわたしへ

70年前の問いが、ついに形になります。

チューリングの夢は、「AIの冬」と呼ばれる長い停滞に何度も見捨てられました。それでも脳を真似た「ニューラルネットワーク」を信じ続けたのが、ジェフリー・ヒントン──なんと、第1章で0と1の論理を生んだジョージ・ブールの子孫(玄孫の家系)です。2012年、ヒントンと弟子たち(その一人がイリヤ・サツキバー)が画像認識コンテストを制し、世界が目を覚まします。ネットに蓄積された「データ」、ムーアの法則が育てた「計算力」、そしてこの「突破」。三つが揃って、夢のエンジンに火が入りました。

決定打のトランスフォーマー(ChatGPTの「T」)を生んだのは、皮肉にもグーグル。その技術をオープンAI(OpenAI)が「誰でも、無料で、話しかけるだけで使える箱」に包んで出したのが、2022年11月30日のチャットGPTでした。新しい大発明やなく、「誰でも使える形にして、世に出した」ことが世界を変えた──ティムのウェブとも、アイクの10日間とも、根っこは同じです。そして物語は、ブールの家系から生まれたAIの一つ、アンソロピック(Anthropic)の「クロード(Claude)」──0と1に電気を流したクロード・シャノンに敬意を込めた名を持つ、本書の語り手──に帰ってきます。

次に読むなら、この本

『0と1から、考える機械まで』に登場した人々を、もっと深く知りたい方へ。日本語で読める本を中心にご案内します。

『イノベーターズ 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史』(1・2巻)

ウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳/講談社(2019年)。原題『The Innovators』。本書と同じ「デジタル革命の全史」を、200人以上のイノベーターで描いた決定版です。エイダ・ラブレスから、ENIAC、チップ、インターネット、グーグルまで──本書が気に入った方の「次の一冊」に、いちばんおすすめします。

『クロード・シャノン 情報時代を発明した男』

ジミー・ソニ&ロブ・グッドマン著/小坂恵理訳/筑摩書房(2019年)。原題『A Mind at Play』。第1章に登場した、0と1に電気を流し、「ビット」を生んだ天才の初の本格評伝。一輪車とお手玉と「究極の無用機械」の茶目っ気まで含めて、シャノンという人の全体像が分かります。語り手クロちゃんの名前のルーツでもあります。

『エニグマ アラン・チューリング伝』(上・下)

アンドルー・ホッジス著/土屋俊・土屋希和子訳/勁草書房(2015年)。原題『Alan Turing: The Enigma』。「機械は、考えることができるか」と問うた人の、決定版の伝記です。映画『イミテーション・ゲーム』の原作にもなりました。第1章の、あの静かに頭を下げた話の全貌が、ここにあります。

『スティーブ・ジョブズ』(I・II)

ウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳/講談社(2011年/講談社+α文庫、2015年)。原題『Steve Jobs』。ジョブズ本人が取材に全面協力した公認伝記。養子の生い立ち、「見えん裏側まで美しく」、追放と復活、iPhone──第3章と第6章の物語を、余すところなく読めます。

『フェイスブック 若き天才の野望』

デビッド・カークパトリック著/滑川海彦・高橋信夫訳/日経BP(2011年)。原題『The Facebook Effect』。子供部屋のチャットから約30億人をつなぐ怪物まで──第6章のザッカーバーグの物語を、本人と会社への長期取材で描いたノンフィクションです。

『創始者たち』

ジミー・ソニ著/櫻井祐子訳/ダイヤモンド社(2023年)。原題『The Founders』。第5章の「ペイパル・マフィア」の内幕を描いた一冊。マスク、ティール、レヴチン──後にネット界の半分を作る若者たちの、薄氷を踏むような創業物語です。

『イーロン・マスク』(上・下)

ウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳/文藝春秋(2023年)。原題『Elon Musk』。ジョブズ伝と同じ著者が、2年間マスクに密着した公認伝記。いじめられっ子のSF少年が、ロケットを再利用可能にし、Xを買収するまで──「天才」と「はた迷惑」の同居を、間近で描きます。

『志高く 孫正義正伝 決定版』

井上篤夫著/実業之日本社文庫(2024年)。第5章に登場した孫さんの、30年以上の密着取材による評伝です。ミカン箱の演説から、ヤフー・ジャパン、アリババへの伝説の投資、そしてAIへ──「持たざる者」の物語の、日本代表がここにあります。

「考える機械」をめぐる、その後

AIは、いま世界でいちばん動きの速い分野です。本は出版した時点で止まりますが、このページは更新できます。本書の物語の「続き」にあたる出来事が起きたとき、ここに追記していきます。

2026年7月

ページを開設しました。現時点の要点は、本書のとおりです。